一級建築士に理想的な住まいを聞いてみた③
第三者としての立ち位置
R
無料の相談を最初にしていただけると聞いて
無料相談の段階だとどういうところまでご相談できるんでしょうか?
盛田
内容を伺って、プランを出すところまではさせていただきています。
F
プランまで出されるんですか?
盛田
やはり、話をしていて、過去の実績を見ていただくっていうのもできるけど、
実際にどんなものができるかはそれぞれ違うし、今は何もないものを売っているわけなので、
どういうものができるかくらいは作らないとと思ってます。
3Dで少し作るくらいのところまで。
ハウスメーカーさんや工務店さんでお願いをすると、そちらが提案するプランの見積しか提示されないけど
僕のところに来てもらえたら、いろいろな工務店さんと取引があるので、同じプランでの金額比較ができます。僕たち設計事務所は、第三者的な立場で動けるので、それは1番のメリットじゃないかなと思います。さっきも話したみたいに、価格の変動もあるし、今、どれが適正価格なの?って。
いろいろな人に聞いてみないとわからないですからね。
R
一つの会社の見積でこの金額です。って出されたら、そうなんだって思うしかできないですもんね。
盛田
そうですね、プラン一つにしてもそれぞれで全然違うので、
ハウスメーカーさんに行って、他のメーカーさんでこのプラン出してもらったんですけど
これで作れますか?っていうことはできないので。
でも、設計事務所が入り口であれば、それが可能なんです。
F
家づくりのプロが第三者的立ち位置で、しかもこちら側についてくれるっていうのはやっぱりすごくメリットですね。

実際に体験できる場所
R
ハウスメーカーさんに行くと実際にお家の中が見れるじゃないですか、そういった場所は盛田さんの建てたお家であったりするんでしょうか?
盛田
実際に見れる場所は、タイミングが合えばあります。
僕が設計させてもらったところが見学会をしているケースもあるし、
少し前だったら住宅会社さんのモデルハウスを作ったり....
でもそこを見せてってなると、あっじゃあうちでって窓口変わっちゃいますね(笑)
そうですね、本来であれば、
僕もすぐ見せれるものがあれば良いなと思うんですけどね。
R
個人の方の住まいだともう生活されていらっしゃいますもんね。
盛田
そうですね。住所を知られたくない方もいらっしゃいますし、写真も掲載したくない方もいらっしゃるので。
手元でお写真を見せるだけなら大丈夫だったりはしますけど、公開しないでねっていう。
でも、インスタなどから理想のお家の写真などを持ってきて
こんな感じにしたいんです!と見せてもらう機会が最近多くなりましたね。
R
盛田さん自身が建てられたものでないお写真だと大変ではないんですか?
盛田
あまりにも今まで自分がやってきた感じと違うものだったらうちを選んでいただけないはずなので、
今のところ大変なことはないですね。
R
じゃあ今後、盛田さんのインスタを見てきました!なんてこともあるかもですね。
盛田
そういうのもあるんでしょうね〜。僕はあまりインスタとかをやってないから、
これから頑張らないと。
設計士のこだわり
盛田
僕は建物にどういうふうに日射が入るかとか、そういうのを検討するのが得意なんですが、
例えば、街中で、しっかり日射が入る南面だからといって、大きな掃き出し窓がついていて、
道路から中が丸見えになってるとか、そういうのを考えずに建ってるところがあるじゃないですか。
ずっとカーテン閉めた状態で住むって話になってくるから、せっかくの日射も残念な感じがします。
F
僕なんかは、見られても平気ですね。結構解放してても全然オッケーです。
多分一定数いるんでしょうね。全然良いっすよ、みたいな人
盛田
そうですね笑
そうやって割り切ってオープンにするんだったらね、日射も入ってくるしそれはそれで良いと思う。笑
やっぱり住む環境、今は目の前に平家が建ってるけど、将来三階建てになるかもしれないよっていうところまで考えながら家を作るようなことをしなきゃいけないですよね。
R
それってわかるものなんですか?
盛田
ある程度はわかりますよ。
2階建て以上は建てれない地域もあるし、その場所周辺に既に背の高い建物があって、収益的に成り立つような場合、大きな建物が立ちやすいから、ちゃんとそこの想定をしてますね。
F
難しいですよね。音問題とかだと、急に隣に保育園ができたとか、そんなのもあるんだろうな。建てたけどトラブルになった事例というのは盛田さんが建てたもの以外でも良いんですけど、どういうものが想定されますか?
さっきのだと家を建てた隣に大きなマンションができちゃったみたいな。
盛田
逆は聞いたことがあるんですけどね。
隣にマンションが建ってるのに、それを何も意識せずに新しい建物を建てちゃう、みたいなのがあって。
どうしても隣に大きなマンションがあったら、2時間とか3時間とか日がかげるタイミングがあるじゃないですか。
それなのにそれを無視して太陽光発電を乗せちゃうとか。
影っているタイミングは発電しないんですよ。
R
え….それは誰も教えてくれなかったと
盛田
そこまで考えてなかったのかな….
でも太陽光発電自体は良いものだからね、ちょっともったいないなっていう。
F
それでいけば、やっぱり僕は、ちょっとなんか離れた田舎の方がいいですかね。
盛田
そうですね〜。でも、家は作り方次第でいろいろな可能性があるので、田舎でも街中でも、様々な視点で考えてみることが大事ですね。
日射の話
R
家づくりってこだわりがたくさんあると思うんですが、素人すぎて....
こだわればこだわるほど訳が分からなくなりそうで、プロにお任せって感じでもいいんですかね?
盛田
それはこちらにとって、すごく幸せなことだと思います。
自分と相性が良く、感覚があっていれば任せていただけますし、
そうじゃなかったらずっとお任せされないままという話になるんです笑
だからそういう意味でも、いろいろな人に会った方がいいかもしれないですよね。
この人ならやってくれるという人がいれば、お任せでもいいと思うし。
断熱の話もそうですけど、それぞれの価値観はあるし、あるべきだと思います。
何を大事にするかってところですかね。
R
盛田さんのお話を聞いて思い出したんですが。
私の実家はどこの部屋に行っても、日光が当たるような環境になっていて、
そこで何も考えずに育ってきたので、マンションに移り住んだときにびっくりしたのが、玄関が真っ暗。
今でも慣れなくて。
そこは私の唯一こだわれる部分かもしれないですね。
盛田
いいですね。
洗面所のタイルがかっこいいとか、そういうのよりこっちの方が僕は大事だと思うんですよね。
まあ、洗面所のタイルがかっこいいのも大事だけど。
(全員笑)
R
帰ってきてもなんか寂しいというか
F
僕もマンション住まいのときは。それが嫌だったな〜
盛田
でも、本当に日が入らない環境だったとしても、必ずどこかに良い場所はあるんですよ。
その敷地の中で1番良い場所が必ずあって、例えばお昼は日が当たらないけど、朝日はしっかり取り込みたいとか、
そういう場所を作れたりとかね。
R
寝室にバッチリ朝日が入るとか
盛田
そうそう。そういうふうなところを作ったりとか、本当に工夫次第でいろいろなことができるので、
ぱっと見の雰囲気っていうよりは、時間をちゃんと考えて作ってあげることも、わかりにくい話かもしれないけど大事かなと。
R
すごいですね…自然を読んでというか
盛田
自然を読むことは難しいんだけど、太陽の角度と向きの規則性だけは変わらないからね。
天気や気温は毎日毎年違うけど、ある地点のある日時での太陽の向きだけは変わらないから、それを基準に建物を作らないで、何を基準にするんだと。
F
家って見た目そのもので勝負みたいな感じがあるけど、裏での積み重ねがすごいですね。
R
でも悩みやこだわりっていうのがある方が、
解決に向かっての道筋が見えてはきますね。
盛田
そうですね。要望される内容が多い方が、僕は作りやすい。
確かにそうだと思います。

二世帯住宅について
盛田
今お住まいのところに、事前相談のかたちでお邪魔させてもらって、見えることって結構あって、
人間関係とかもちょっと見えたりするし、そこで少し家族の距離感を考えたりとかもあるし。
以前、二世帯住宅を建てるお仕事が多いときがあって、二世帯の場合って、かなりその辺に気を付けないといけなくて、音の感覚だったりとか。
R
私の実家をリノベーションするとなると二世帯になりますね....
その場合、私の意見とお母さんの意見とを聞くってかたちになるってことですよね。
F
それってすごく難しそう。
盛田
そうですね、結構大変です。一緒にいたら、遠慮して話せないこともあるので、
それぞれで聞いてみたりすることもあるし、
でも、一緒にいるときに聞かないといけないことも、もちろあるので。
そのときにそれぞれ聞いたことが 最終的に違うじゃんってなるときもある。笑
これまでの経験上、これだけは言えるのは、ご主人の方の家族と一緒に暮らすときには必ず水回りは別にしといた方が良いですね。できれば玄関も別。
R
それはお客さんから別にしてほしいって言われるんですか?
それとも盛田さんの方からのご提案で?
盛田
僕が一番最初にこうした方がいいですよって提案させてもらうこともあるし、
もちろん施主さんからの要望もあります。
でも、予算や土地の広さの関係でなかなか別々に出来ないこともありますね。
F
もう2棟建てませんかってなりますね笑
R
相談期間も長くなりそうですね。
盛田
長くなるときもあるし、でも、お金をどちらが払うかっていうのも、もちろんあるんだけど、
親の方は、できれば若い世帯に任せたいって思いがあるから。
だから、基本的には、話自体はスムーズに行くことが多いです。
だけど、気がかりなことがあれば、お話しさせてもらえませんか?って
単独でお話を伺うこともありますね。
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